地声と裏声を素早くスムーズに切り替えるポイント

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「地声」とは、何も考えず、ふっと喉から出る声です。通常の会話や独り言など、素のままの自分、年齢や性別、体質、体調などがそのまま反映されます。そして「裏声」とは、歌ったり、スポーツの応援などで張り上げてるような、何かを意識して演じるように作って出す声、普段では出さない声量や高さの声、という違いがあります。

体の中で使っている部分がそもそも違っているのです。発声のベースとなる胸筋や腹筋も、趣味や仕事として声を使うことを意識している人でなければ、それほど大きく使用しているわけではありません。

裏声を出す場合には、その腹筋、胸筋そして喉の声帯の、いつもはあまり使わない部分を駆使しているのです。音楽の授業やカラオケで大きな声量で歌う場合に、人によって「ひっくり返る」ような声になるケースが多々あります。

それはいつも声を出すときとは極端に使う場所、呼吸法が違ってしまい、発声をその瞬間に制御できていないからだと考えられます。

地声と裏声を意識付け

では、地声と裏声を意識して使い分け、滑らかに切り替えていくにはどうしたらよいのか、というポイントがどこにあるのかを考えます。自らの声帯や腹筋を意識して声を出す、話すということは一般的にはあまりないことでしょう。しかし、その発声の瞬間に自分の体の内側を覗きこむように探ってみると「今どこを使って、どこから自分の声が出てきているのか」ということがわかってきます。

地声と、裏声を出すときの体の中の違いは明確であり、割れた声を使いすぎて「喉がかれる」という感覚がそれです。思わず酷使してしまった、いつもと違うその部分がよくわかります。

地声と裏声を素早くスムーズに切り替えるには?

では、その切り替えをスムーズに行うにはどうしたらよいのでしょうか。発声のベースとなる呼吸と腹筋の使い方、そして喉の声帯の使い方が問題になってくるのです。呼吸は、多くの人は日常では胸式呼吸です。

喉と、胸の浅い部分しか使っていないと考えられています。しかも、肺のすべてにいきわたるほどの肺活量を使う人はあまり多くはありません。運動するときのウォームアップ、クールダウンなどにおいて、正しいやり方で「深呼吸」をすると、自分の胸が思ったよりも膨らみ、こんなにも胸郭が広がるものなのかと驚く人もいます。

そして、単純に、声を出すことを意識する、そして喉や胸郭、腹筋を柔軟に保つことが大切なのです。腹式呼吸法は胸式呼吸法よりも、お腹の深いところ、体の奥から声を出すことに繋がり、喉・声帯だけを酷使せず、傷めないという利点があります。また、その地声と裏声の切り替えということですが、極端に日常の発声と違う喉の場所を使うのではなく、広範囲に喉を使うことを普段から心がけることが大切なのです。

瞬間的にひっくり返るような大声を出した時に、喉がぎゅっと締ってしまうような感覚は、指摘されて初めて気が付くかもしれませんが、その気づきのひとつひとつも大きな経験です。声帯は意識してまんべんなく使い慣れてくると、自分が驚くほどいろいろな声が出せるようになるのです。歌うとき、スポーツなどで大声で応援したりするときだけでなく、日常の何気ない会話にも、ハリが出てくるものなのです。

声帯を構成している部分も筋肉の一種なので、その使いどころを日々意識することで鍛えられ、その結果が声に現れます。

通常は、男女問わずに年齢を重ねると低く、弱くなりがちな声も、若々しくよみがえってくるという可能性を秘めたアンチエイジングにも繋がるのです。そういった体の内側への意識を重ねることによって、自分の声帯と呼吸の使いどころを自らが探り、知ることで、極端に声がひっくりかえることもなくなっていくのです。

発声のために使う声帯のポイントを「点から点へと切り替えていく」というよりも、ピアノの鍵盤の端から端までを滑らかに指が渡っていくように声帯を使い分けていくことが可能になるのです。

そのベースになる呼吸も腹式で、腹筋を柔軟に保ち、体の奥底深くから息を吐き出すようにしていくことで、喉・声帯の負担は軽減され、地声ものびやかになり、裏声への切り替えもスムーズになるのです。通常の会話でも、カラオケや声楽でのびやかに歌う時にも、本人だけでなく、聴いている人にも違和感のないほどに滑らかに切り替わる声が出せるようになります。

表に出てくる声の裏側に、深い体の使い方が潜んでいます。

力強い声、優しい声、高い声、低い声、さまざまな自分の声のコントロールを目指すことで体の内側が鍛えられ、呼吸そのものが変わり、酸素を取り込む量が増えて日々の生活が健康的になったり、そんな事象を通して結果的に体を支える腹筋が強くなって、顔が上がり、姿勢もまっすぐに変わってくるのです。さまざまな声を出す「楽器」としての自分の体を今一度考えてみる、そのポイントを探っていくこと、学んでいくことは、「声」というパーツを通して自分を変えていく大きな転機になるかもしれません。

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